#007
Ibicella
2026.05.11 Release
完成しないまま わたしは 咲いていく あなたに 届かない手のひら 揺らしながら
Without being complete, I keep blooming swaying my hands that cannot reach you
Scenes



Botanical Notes
キバナツノゴマ — Ibicella lutea — 花言葉: 私を何処かへ連れて行って
食虫植物の仲間とされながら、虫を捕らえて栄養にすることはできない「失敗した食虫植物(proto-carnivorous)」。茎や葉の表面は腺毛から出る粘液でべたつき、小さな虫を捕らえますが、それを消化する酵素を持たず、養分として吸収することはありません。
南米原産で、夏に黄色い漏斗状の花を咲かせます。熟した実は乾くと木質化し、二股の長い鉤爪状に裂けます。この鉤が通りがかる大きな動物の脚に引っかかり、運ばれるうちに割れて種子を散らす。「悪魔の爪(Devil’s Claw)」の名は、この形に由来します。
Liner Notes
「悪魔の爪」と呼ばれ、虫さえうまく捕らえられない花。世界はいつも「ちゃんと完成しなさい、役に立ちなさい」と急かしてきます。
それでもこの花は、咲くことだけはやめません。差し出した手が誰にも届かなくても、甘い香りが風に流されて消えても、ただ咲いていること自体が、その花の精いっぱいの返事になる。うまくできなかったこと、届かなかったことを、「失敗」ではなく「その花なりの咲き方」として歌いたいと思いました。
立ち止まって、その音に耳をすませてくれる人がひとりいれば、それで充分。完璧じゃなくてもいい。このうたが、いつか誰かの肩の力を、そっと抜けますように。
歌詞
完成しなさいと 世界は急かす "Be complete," the world urges
あなたに 触れたかった ただ それだけ I only wanted to touch you, that was all
誘う香りも 離せない 指先も 持っているのに I have the alluring scent, I have fingertips that won't let go
何も 持ち帰れない 不器用な手 yet my clumsy hands bring nothing home
──「悪魔の爪」と 誰かが 名付けた── ──Someone named me "Devil's Claw"──
黄色い鈴が 鳴っている The yellow bells are ringing
誰にも まだ 届かない not yet reaching anyone
健気に 健気に 何度でも Bravely, bravely, again and again
咲くだけが あなたへの返事 Just to bloom is my answer to you
完成しないまま わたしは 咲いていく Without being complete, I keep blooming
あなたに 届かない手のひら 揺らしながら swaying my hands that cannot reach you
いらないものなんて この世にないよ Nothing in this world is unneeded
Ibicella、と 黄色い鈴が 鳴る Ibicella — the yellow bells ring
失敗が 道になる そんな日もある Sometimes failure becomes a path
あなたの 隣で 咲いていたい I want to bloom beside you
誰かは わたしを 悪魔と呼び Some call me a demon
誰かは わたしを 神秘と呼んだ Some call me a mystery
あなたは わたしを どう呼ぶの What will you call me
わたしの 黄色い花は 変わらない My yellow flower does not change
──失敗ばかりの 世界の中で── ──In a world full of failures──
咲いていく 咲いていく I bloom, I bloom
咲くしかないなら 咲くだけで If I can only bloom, then just by blooming
不器用な わたしの手のひらに Onto my clumsy palm
あなたが そっと 触れた you gently touched
完成しなくても わたしは 咲いている Even without being complete, I am blooming
届かないことが 咲き方になる Failing to reach becomes a way to bloom
いらないものなんて この世にないよ Nothing in this world is unneeded
Ibicella、と 風が 応える Ibicella — the wind answers back
失敗から 何も 持ち帰れなくても Even if failures bring nothing home
あなたが 隣で 揺れている you are swaying beside me
差し出した両手は 風に流された My outstretched hands were swept by the wind
香りは どこにも届かなかった The fragrance reached nowhere
それでも 黄色い鈴は 鳴っていた Still the yellow bells were ringing
あなたが 立ち止まって 聞いてくれた You stopped and listened
それで 充分だった That was enough
完成しないまま わたしは 咲いていく Without being complete, I keep blooming
届かない手のひら 揺らしながら swaying my hands that cannot reach
いらないものなんて この世にないよ Nothing in this world is unneeded
Ibicella、と 共に 鈴が 鳴る Together with Ibicella, the bells ring
だから あなたも 完成しなくていい So you too don't have to be complete
失敗が 道になる そんな日もある Sometimes failure becomes a path
わたしたちは 咲いている それだけで We are blooming — that alone is enough
黄色い 鈴が 鳴る The yellow bells ring
風が 流れていく The wind flows on
あなたが 聞いてくれた You listened
それでも わたしは 咲いている Still I am blooming
Ibicella Ibicella
